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コラム

大学のキャリア教育
~カウンセリング(個別面談)で学生に気づきを!~

文部科学省に設置されている中央教育審議会は、文部科学省の答申を受けて、キャリア教育を次のように定義しています。「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」 つまり、勤労観、職業観を育てる教育で、主体的に進路を選択する能力・態度を育て、職業生活との円滑な接続を図ることです。

9割の大学が実施するキャリア教育

大学進学率が男女ともに50%を超える今日、大学等の高等教育機関が我が国の多くの若者にとって社会に出る直前の教育段階であることを踏まえ、学校から社会・職業への移行を見据えたキャリア教育の充実が求められています。このような中で、現在9割を超える大学でキャリア教育を実施しています。

キャリア教育は大きく2つに分けることができます。一つは、授業科目・カリキュラムとして集合教育を実施するもので、授業名としては「キャリアデザイン」・「キャリア形成」などがそれにあたります。もう一つは個別の学生との面談で、キャリアセンターに勤務しているキャリアコンサルタントが、学生から進路などについて相談を受けるとともにアドバイスをしています。個別面談にあたるキャリアコンサルタントは、国家資格キャリアコンサルタントの有資格者で、各学生のニーズを的確に把握し、必要な助言や情報提供等を行っています。

キャリアコンサルタントとして学生一人ひとりを支援

一口に学生といっても色々なタイプがあり、将来就きたい仕事が比較的明確な学生もいれば、まったく頭にない学生もおり、面談は百人百様です。相談内容は、どんな業種でどんな仕事をするかという「就職に関する相談」のほかに、志望先が明確になった場合は「履歴書作成指導」や「模擬面接の実施」、就職後の人生設計も含めた「キャリア形成に関する相談」などもあり、多様化しています。

今後、社会がますます多様化、個別化、流動化し、キャリアも多様化・多面化していく時代に、学生が大学から社会・職業への円滑に移行していくために、個別面談は一層重視されます。したがって、私たちキャリアコンサルタントには、今以上の専門的な知識とスキルが求められます。これまでの助言や情報提供だけではなく、より学生の目線に立って、学生と一緒に問題点を整理し、学生に仕事だけに留まらず生きる上での自己の価値観についても気づいてもらう必要があります。そして、学生一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて支援していくことがキャリアコンサルタントに今後求められる役割です。

*このコラムは2019年12月24日に中部経済新聞に掲載されました。