TOPICSトピックス

コラム


アサーションの実践でコミニュケーションの改善を
  相手の意見・立場を尊重、自己の意見も主張

組織で働く上で、周囲とコミュニケーションをとりながら仕事を進めていく場面は多くあります。そのなかで、一方的な押し付けにならず、周りの人の意見や考えを尊重しながらも自分の考えや意見を伝えていくことが求められます。そこで取り入れられるコミュニケーションスキルが「アサーション」です。

コミュニケーションスキル・アサーションとは

アサーションとは、“自分も相手も大切にした自己表現”のことです。1950年代のアメリカで、心理療法の中の行動療法の一つとして用いられるようになり、1960年代に人種差別の撤廃など人権問題に関する活動が活発になる中で、一般に知られるようになりました。この歴史からみても、アサーションの軸は、お互いの権利を大切にする、お互いを尊重するという考え方・態度が基本です。

ではアサーションとは具体的に、どのようなコミュニケーションのとり方なのでしょうか。ここで人と人のかかわり方を大きく3つのタイプに分けて考えてみましょう。1つ目は、自分のことだけを考えて他人への配慮なく自己主張する「アグレッシブ(攻撃的)タイプ」。2つ目は、自分よりも他者を常に優先し自分のことを後回しにする「ノンアサーティブ(非主張的)タイプ」。3つ目は、自分のことをまず考えるが他者をも配慮し、その場の状況に応じて適した表現をする「アサーティブ(自分も相手も大切にする)タイプ」。アサーションとは、この3つ目のタイプの人とのかかわり方をいいます。

アサーションを理解し実践を

例えば、あなたが明日のプレゼンテーションの資料を作っている時、上司から「来週の会議に使う資料を今日中にまとめておいて。」と頼まれたらどうしますか。「今はできません。」と言い放ってしまう(アグレッシブタイプ)と気まずい雰囲気になり、「はい、わかりました。」と引き受けてしまう(ノンアサーティブタイプ)とプレゼンテーション資料が完成しません。どちらにしてもストレスを感じてしまいます。そこで、「明日のプレゼンテーション資料を作成しているので今すぐは難しいです。終わり次第そちらの会議資料の作成に取り掛かってもよろしいでしょうか。」とアサーティブに表現すれば、上司も状況を理解して次の策を考えることができます。このように、アサーションを仕事の中に取り入れると業務が進めやすく、良好な人間関係が気づけるようになるでしょう。組織の誰もがアサーションを理解し実践するようになれば、コミュニケーションの活性化に留まらず、業務の効率化、生産性向上も図られると思います。

*このコラムは2021年1月12日に中部経済新聞に掲載されました。